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2015年4月7日火曜日

平成25年(受)第1080号 損害賠償請求事件平成27年2月19日 第一小法廷判決 非上場会社と有利発行

非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たるかが争点となっています。
平成25年(受)第1080号 損害賠償請求事件
平成27年2月19日 第一小法廷判決

主 文
1 原判決中上告人ら敗訴部分を破棄し、同部分につき第1審判決を取り消す。
2 前項の部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

理 由
上告代理人加々美博久ほかの上告受理申立て理由(ただし、排除されたものを除く。)について
1 本件は、上告補助参加人(以下「参加人」という。)の株主である被上告人が、参加人の取締役であった上告人らに対し、平成16年3月の新株発行(以下「本件新株発行」という。)における発行価額は商法(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)280条ノ2第2項の「特ニ有利ナル発行価額」に当たるのに、上告人らは同項後段の理由の開示を怠ったから、同法266条1項5号の責任を負うなどと主張して、同法267条に基づき、連帯して22億5171万5618円及びこれに対する遅延損害金を参加人に支払うことを求める株主代表訴訟である。
上告人らは、本件新株発行における発行価額は「特ニ有利ナル発行価額」に当たらないなどと主張して、これを争っている。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は、次のとおりである。
(1) 参加人は、平成16年3月当時、非上場会社であり、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めがあった。
本件新株発行前における参加人の発行済株式の総数は40万株であり、これらは役員、幹部従業員等によって保有されていた。
(2) 参加人は、株式の上場を計画し、平成12年5月、新株引受権の権利行使価額を1株1万円とする新株引受権付社債を発行した。
しかしながら、その後、参加人では、主力商品の展開に失敗して売上げの減少が続いた上、不動産について巨額の含み損を抱えるに至り、有利子負債の額も増大した。参加人は、取引銀行に対して返済停止や追加融資を要請したが、いずれも断られたり、難色を示されたりした。そこで、参加人は、役員報酬及び従業員給与の削減、定期昇給の凍結、広告費の削減等を断行したほか、不動産を順次売却した。
参加人では、平成10年度から平成12年度までの3事業年度(4月1日から翌年の3月31日までをいう。以下同じ。)には1株当たり150円の配当がされていたが、平成13年度及び平成14年度には配当がされなかった。
(3) 参加人では、平成13年頃から、参加人の株式を保有する役員、幹部従業員等の退職が相次いだ。代表取締役の上告人Y1その他の役員等は、退職者からその保有する株式の買取りを求められ、その都度、1株1500円でこれらを買い取った。
参加人は、平成14年7月から同年10月までの間、上告人Y1から上記株式の一部を1株1500円で購入し、自己株式とした。もっとも、参加人は、取引銀行からの要請等を踏まえ、平成15年11月、上告人Y1に対してこれらの自己株式を1株1500円で売却した。
なお、上告人Y1は、平成14年12月、幹部従業員約40名に対し、上告人Y1の引き続き保有する株式を1株1500円で購入するよう希望者を募ったが、希望者はほとんど現れなかった。また、上記(2)の新株引受権付社債については、平成15年6月、参加人の株主総会において、新株引受権の権利行使価額を1株1500円に変更する旨の特別決議がされた。
(4) 参加人は、平成15年11月に行われた自己株式の処分に先立ち、B公認会計士(以下「B会計士」という。)に参加人の株価の算定を依頼した。

B会計士は、平成15年10月頃、参加人から、①平成12年度から平成14年度までの決算書(貸借対照表、損益計算書及び利益処分計算書)、営業報告書及び附属明細書、②平成14年度の法人税確定申告書及び勘定科目内訳書、③参加人の過去の株式売買実績例及び株式移動表並びに株主名簿、④相続税路線価による参加人保有土地の評価資料、ゴルフ場等の含み損益に関する資料及び債権の貸倒引当金の明細等の提出を受けた。また、B会計士は、参加人の担当部長と面談し、建物及び子会社株式にも含み損があることや、株価算定の基礎資料となる事業計画は存在しないことなどを確認した。

その上で、B会計士は、平成15年10月31日、次のアからウまでの理由により、参加人の同年6月26日以降の株価を1株1500円と算定し、その旨参加人に報告した。

ア 参加人の株式は、一時的に無配であるものの、それ以前は継続して配当が行われてきたことや、一定期間、利益配当に係る期待値によって評価された価格により株式売買が行われてきたことを考慮すると、配当還元法により算定するのが適切と考えられる。
イ 参加人では、従前は1株当たり150円の配当がされており、直近の過去2事業年度は経営体質の強化を目的として一時的に無配としたものにすぎず、今後、利益配当を復活させることを予定しているのであって、直近の取引事例にも照らすと、株価の算定に当たっては、1株当たりの配当金額を150円とするのが相当である。そして、これを財産評価基本通達の配当還元法の算式で用いられている資本還元率で還元すると、1株当たりの評価額は1500円と算定される。
ウ 参加人の時価純資産に巨額のマイナスが生じていることや、株価算定の基礎資料となる事業計画はないこと、売上げも減少傾向にあることなどからすれば、簿価純資産法、時価純資産法、収益還元法、DCF法及び類似会社比準法は採用しない。

(5)ア 参加人は、店舗改修等の設備投資資金及び運転資金を調達するとともに、役員や幹部従業員に株式を保有させて経営への参画意識を高めることを目的と
して、本件新株発行を行うことにした。もっとも、これは上記(3)の自己株式の処分と同一事業年度内での新株発行であり、B会計士の算定結果の報告から4箇月程度しか経過していなかったため、改めて専門家の意見を聴取することはなかった。
イ まず、平成16年2月19日、参加人の取締役会において、次のとおり本件新株発行を行う旨の決議がされた。
新株の種類及び数 普通株式4万株
発行価額 1株1500円
払込期日 同年3月24日
割当先 上告人Y12万3000株、上告人Y25000株、上告人Y31000株、C6000株、D2000株、
E2000株、F1000株
ウ これを踏まえ、上告人Y1は、株主らに対し、本件新株発行における新株の種類及び数、発行価額、払込期日、割当先等を記載した株主総会招集通知を送付した。
そして、平成16年3月8日、参加人の株主総会において、本件新株発行を行う旨の特別決議がされた。その際、上告人らは、「特ニ有利ナル発行価額」をもって株主以外の者に対し新株を発行することを必要とする理由の説明はしなかった。
(6) 参加人の平成15年度の決算は増収増益となり、有利子負債の額も減少に転じ、1株100円の配当が行われた。また、平成16年度には広告宣伝の効果もあって新商品の売上げが伸び、増収増益となり、有利子負債の額も大きく減少し、1株150円の配当がされた。平成17年度には、新商品の相次ぐ投入や、店舗の刷新等の設備投資の結果、商品の売行きは好調となった。
参加人は、株式の上場を再び視野に入れるようになり、平成18年2月には1株を10株にする株式分割を行い、同年3月には新株22万株を1株900円で発行した。

3 原審は、次のとおり判断して、被上告人の請求を一部認容すべきものとした。
参加人の株式は、平成12年5月時点で1株1万円程度、平成18年3月時点で1株(株式分割前)9000円程度の価値を有していたというべきところ、DCF法によれば平成16年3月時点の価値は1株7897円と算定されるのであって、これに諸般の事情も併せ考慮すると、本件新株発行における公正な価額は少なくとも1株7000円を下らないというべきであるから、本件新株発行の発行価額(1株1500円)は「特ニ有利ナル発行価額」に当たる。なお、B会計士の採用した配当還元法は、主として少数株主の株式評価において、安定した配当が継続的に行われている場合に用いられる評価手法であって、本件においては相当性を欠く。

4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

(1) 非上場会社の株価の算定については、簿価純資産法、時価純資産法、配当還元法、収益還元法、DCF法、類似会社比準法など様々な評価手法が存在しているのであって、どのような場合にどの評価手法を用いるべきかについて明確な判断基準が確立されているというわけではない。また、個々の評価手法においても、将来の収益、フリーキャッシュフロー等の予測値や、還元率、割引率等の数値、類似会社の範囲など、ある程度の幅のある判断要素が含まれていることが少なくない。
株価の算定に関する上記のような状況に鑑みると、取締役会が、新株発行当時、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額を決定していたにもかかわらず、裁判所が、事後的に、他の評価手法を用いたり、異なる予測値等を採用したりするなどして、改めて株価の算定を行った上、その算定結果と現実の発行価額とを比較して「特ニ有利ナル発行価額」に当たるか否かを判断するのは、取締役らの予測可能性を害することともなり、相当ではないというべきである。
したがって、非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し、客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には、その発行価額は、特別の事情のない限り「特ニ有利ナル発行価額」には当たらないと解するのが相当である

(2) これを本件についてみると、B会計士は決算書を初めとする各種の資料等を踏まえて株価を算定したものであって、B会計士の算定は客観的資料に基づいていたということができる。
B会計士は、参加人の財務状況等から配当還元法を採用し、従前の配当例や直近の取引事例などから1株当たりの配当金額を150円とするなどして株価を算定したものであって、本件のような場合に配当還元法が適さないとは一概にはいい難く、また、B会計士の算定結果の報告から本件新株発行に係る取締役会決議までに4箇月程度が経過しているが、その間、参加人の株価を著しく変動させるような事情が生じていたことはうかがわれないから、同算定結果を用いたことが不合理であるとはいえない。これに加え、本件新株発行の当時、上告人Y1その他の役員等による買取価格、参加人による買取価格、上告人Y1が提案した購入価格、株主総会決議で変更された新株引受権の権利行使価額及び自己株式の処分価格がいずれも1株1500円であったことを併せ考慮すると、本件においては一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたということができる。
そして、参加人の業績は、平成12年5月以降は下向きとなり、しばらく低迷した後に上向きに転じ、平成18年3月には再度良好となっていたものであって、平成16年3月の本件新株発行における発行価額と、平成12年5月及び平成18年3月当時の株式の価値とを単純に比較することは相当でなく、他に上記特別の事情に当たるような事実もうかがわれない。
したがって、本件新株発行における発行価額は「特ニ有利ナル発行価額」には当たらないというべきである。

5 以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決中上告人ら敗訴部分は破棄を免れない。そして、以上説示したところによれば、上記部分に関する被上告人の請求はいずれも理由がないから、同部分につき第1審判決を取り消し、同部分に関する請求をいずれも棄却すべきである。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山浦善樹 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官白木 勇)


株価算定

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また近年は、”同族会社の株式買取請求”の相談に対して、弁護士と共同して問題解決に当たります。
年間数十件(数多くの上場会社を含みます)に及ぶ株価算定業務の経験を通じて蓄積したノウハウに基づき公認会計士・税理士が株価算定書を発行しますので、株式公開審査上や税務上もご安心頂けます。

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株価評価
株価算定研究所

非流動性ディスカウントは認められるかについての最高裁判決 株価算定実務に影響


非上場会社の株価算定で非流動性ディスカウントが認められるかが争われた訴訟で、最高裁の判例が出ました。
実務では、収益還元法でも非流動性ディスカウントが適用されることが散見されましたが、今後は見直す必要があるかもしれません。
今後は、株価算定の係争では、非流動性ディスカウントは争点になりづらくなると思います。

平成26年(許)第39号
株式買取価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
平成27年3月26日 第一小法廷決定

 主 文
1 原決定を破棄し、原々決定を取り消す。
2 抗告人が有していた株式会社A発行に係る株式の買取価格を1株につき106円とする。
3 鑑定人に支払った鑑定料120万円のうち94万8837円を抗告人の、25万1163円を相手方の各負担とし、原審及び当審における抗告費用はいずれも相手方の負担とする。

 理 由
抗告代理人小黒芳朗、同吉田博樹の抗告理由について

1 本件は、相手方を吸収合併存続株式会社、株式会社A(以下「A社」という。)を吸収合併消滅株式会社とする吸収合併(以下「本件吸収合併」という。)に反対したA社の株主である抗告人が、A社に対し、抗告人の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求したが、その価格の決定につき協議が調わないため、抗告人が、会社法786条2項に基づき、価格の決定の申立てをした事案である。
A社は非上場会社であるところ、非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法(将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定する方法をいう。)を用いて株式の買取価格を決定する場合に、当該会社の株式には市場性がないことを理由とする減価(以下「非流動性ディスカウント」という。)を行うことができるか否かが争われている。

2 記録によれば、本件の経緯は、次のとおりである。
(1) A社は、平成24年6月当時、発行済株式の総数338万7000株の非上場会社であり、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定款の定めがあった。
(2) A社は、平成24年6月6日、相手方との間で、効力発生日を同年10月1日として本件吸収合併をする旨の合併契約を締結した。
(3) 平成24年8月8日に開催されたA社の株主総会において、上記契約を承認する旨の決議がされた。
A社の株式32万5950株を有する抗告人は、上記株主総会に先立ち、本件吸収合併に反対する旨をA社に通知した上、上記株主総会において本件吸収合併に反対し、同年9月12日、A社に対し、上記株式を公正な価格で買い取ることを請求した。
(4) 平成24年10月1日、本件吸収合併の効力が発生し、A社は相手方に吸収合併された。
抗告人は、同年11月21日、原々審に対し、上記株式の買取価格の決定の申立てをした。
(5) 鑑定人のB公認会計士は、原々審において、次のとおり鑑定意見を述べた。
本件では収益還元法を用いるのが相当であるところ、A社において将来期待される純利益を予測し、その現在価値を合計すると、約3億6158万3000円となる。そして、非上場会社の株式は上場会社の株式のように株式市場で容易に現金化することが困難であるため、非流動性ディスカウントとして上記金額から25%の減価を行い、その結果を発行済株式の総数338万7000株で除すると、A社の株式の公正な買取価格は、1株につき80円となる。

3 原審は、次のとおり、収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合であっても非流動性ディスカウントを行うことができると判断して、抗告人が有していた株式の買取価格を1株につき80円と定めるべきものとした。
吸収合併に反対して会社からの退出を選択した株主には、吸収合併がされなかったとした場合と経済的に同等の状況を確保すべきところ、A社の株式の換価は困難であり、このことは株式の経済的価値自体に影響を与えているというべきであるから、株式の換価の困難性を考慮することが裁判所の合理的な裁量を超えるものということはできない。抗告人は収益還元法を採用する限りは非流動性ディスカウントを行うことはできないと主張するが、抗告人の享受していた財産的地位は換価の困難性を反映したものというべきであり、上記主張は理由がない。

4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
会社法786条2項に基づき株式の価格の決定の申立てを受けた裁判所は、吸収合併等に反対する株主に対し株式買取請求権が付与された趣旨に従い、その合理的な裁量によって公正な価格を形成すべきものであるところ(最高裁平成22年(許)第30号同23年4月19日第三小法廷決定・民集65巻3号1311頁参照)、非上場会社の株式の価格の算定については、様々な評価手法が存在するが、どのような場合にどの評価手法を用いるかについては、裁判所の合理的な裁量に委ねられていると解すべきである。しかしながら、一定の評価手法を合理的であるとして、当該評価手法により株式の価格の算定を行うこととした場合において、その評価手法の内容、性格等からして、考慮することが相当でないと認められる要素を考慮して価格を決定することは許されないというべきである。
非流動性ディスカウントは、非上場会社の株式には市場性がなく、上場株式に比べて流動性が低いことを理由として減価をするものであるところ、収益還元法は、当該会社において将来期待される純利益を一定の資本還元率で還元することにより株式の現在の価格を算定するものであって、同評価手法には、類似会社比準法等とは異なり、市場における取引価格との比較という要素は含まれていない。吸収合併等に反対する株主に公正な価格での株式買取請求権が付与された趣旨が、吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為を株主総会の多数決により可能とする反面、それに反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主には企業価値を適切に分配するものであることをも念頭に置くと、収益還元法によって算定された株式の価格について、同評価手法に要素として含まれていない市場における取引価格との比較により更に減価を行うことは、相当でないというべきである。
したがって、非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことはできないと解するのが相当である。

5 以上と異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原決定は破棄を免れない。そして、以上説示したところによれば、A社において将来期待される純利益の現在価値の合計は約3億6158万3000円であり、発行済株式の総数は338万7000株であるから、株式の買取価格は抗告人の主張するとおり1株につき106円となるものというべきである。したがって、原々決定を取り消し、抗告人が有していたA社の株式の買取価格を1株につき106円とし、鑑定人に支払った鑑定料120万円については当事者の合意に照らして鑑定結果と各当事者の主張金額とのかい離額に応じて分担させることとする。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 池上政幸 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官山浦善樹)


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株価評価
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2012年7月24日火曜日

裁判目的における株価鑑定書の目次例


目次

【Ⅰ】 鑑定意見
    1.鑑定事項
    2.裁判所が命じた鑑定上の前提事項
    3.鑑定結果
    4.鑑定資料
    5.利害関係
 
【Ⅱ】 鑑定の対象となった事項
    1.申請人
    2.被申請人
    3.鑑定対象会社
    4.鑑定対象株式
    5.鑑定基準日
    6.鑑定に至る経緯
    7.鑑定で実施した手続

【Ⅲ】 鑑定対象会社の概要及び当事者双方から提出された証拠資料等から得られた事実
    1.鑑定対象会社の概要
    2.申請人の主張
    3.被申請人の主張
    4.株式の取引事例
 
【Ⅳ】 非上場会社株式の鑑定評価アプローチと評価法
    1.非上場会社の企業価値等形成
    2.企業価値評価アプローチと評価法
    3.企業価値等形成要因

【Ⅴ】 本件における評価アプローチ及び評価法の選定
   
【Ⅵ】 本件の鑑定意見形成

【Ⅶ】 添付資料




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株価評価
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裁判目的における株価鑑定書の表紙


鑑定書日付
原則として、鑑定書の提出日とする。

宛先(依頼人)名
裁判所からの鑑定命令を受けて提出することとなるため、裁判所が命令者であり依頼人となる。

報告者(受託者)名
裁判所の鑑定命令を受けた公認会計士の氏名、事務所又は監査法人の名称を記載する。

あいさつ文
鑑定命令を受けた事件番号、受けた旨及び実施した旨を簡潔に記載する。



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2012年7月21日土曜日

責任の範囲及び免除並びに制限等


鑑定人が裁判所に対してのみ責任を負うことになるのは前述のとおりである。鑑定業務は、裁判所からの依頼により裁判所の参考に資する目的で実施するものであり、業務内容も裁判所が決定するものであるにもかかわらず、裁判所との間で契約書を締結することはできないという制約がある。 
よって、裁判所と事前に十分協議することによって、裁判所から受領する鑑定事項などを指定した文書において、実施すべき手続について、できるかぎり詳細に記載することが望ましい。 
また、その後の協議等によって決まった事項や通常であれば契約書等に記載されることになる責任の範囲及び免除並びに制限等に関する事項は、上申書などの様式により裁判所に提出しておくことも契約書を締結できない場合の代替的手続として検討すべきである。 
裁判所からの鑑定命令書には、「なお、鑑定人が虚偽の鑑定をした場合の罰として虚偽鑑定罪(刑法171条)の規定が設けられています。」との記載がある。選任された鑑定人は、裁判所において「良心に従って誠実に鑑定することを誓います。」と記載された宣誓書に署名押印する。法律により宣誓した鑑定人が虚偽の鑑定をした場合、3月以上10年以下の懲役に処する(刑法171条、169条)とされている点を留意する必要がある。 



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株価算定
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裁判目的の株価鑑定書の構成及び内容


1.責任限定についての記述
裁判目的の株価鑑定業務は裁判所から委嘱されるものではあるが、裁判所との間に契約書を締結することができない。このため、報告書の前文において報告書の利用者に対しての留意点を記載する箇所の表現については十分留意し、鑑定人の責任の範囲が明確に分かる記述をする必要がある。 
さらに、鑑定書は、裁判所の参考に資するために作成されるものであるが、争っている両当事者及びその関係者が閲覧すること及びそれらの者から差入書(Hold-harmless letter)を入手する必要はないことが前提となっているために、前文において、それらの前提を考慮した上で、鑑定人の責任の範囲を限定する表現をすべきである。 


2.事案の概要
鑑定という性格上、鑑定の対象となった事案の概要及び双方の主張の概要について記載すべきである。 


3.特定の解釈や見解
裁判所との協議により採用した特定の解釈や見解については、鑑定の前提条件として明記すべきである。 




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裁判目的の株価鑑定書の目的



鑑定の目的は、裁判所からの依頼を受けて、特別な専門的知識と経験を有する独立した第三者として鑑定を実施することにより、裁判所が事案について判断するための有用な資料を提供することにある。 
そのため、最終的な判断者である裁判所と鑑定書で報告すべき内容について十分協議する必要がある。



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裁判所に提出した株価鑑定書の利用


株価鑑定業務が裁判所から委嘱されて行うものであるが、裁判所との間に契約を締結することはできない。また、裁判所に提出した鑑定書の利用者を裁判所に限定することはできず、争っている双方に開示されることが前提となっている。この場合でも、裁判所から要請書(Release letter)を入手することはできず、閲覧者から差入書(Hold-harmless letter)を入手することはできない。


しかしながら、鑑定人の責任は裁判所に対する責任に限定され、閲覧者、あるいは、その他の第三者に対して責任が発生するものではない。



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株価鑑定におけるシナジー効果の考え方


株価鑑定の際には、シナジー効果をどの程度反映するかという点においては議論の分かれるところである。 

取引目的の株価算定業務において、評価に反映するシナジー効果の範囲は非常に幅広いものである。取引目的の価値評価においては、通常生じるようなシナジー効果だけでなく、特定の買い手のみに生じるようなシナジー効果まで、すなわち、可能性のあるすべてのシナジー効果について考慮する可能性がある。 


一般的な考え方として、プラスのシナジー効果に関していえば、「公正な価格」若しくは「資産状態その他一切の事情を考慮した」価格には、特定の買い手のみに生じる可能性のあるシナジー効果についてまで考慮することはできないが、通常享受し得るシナジー効果については考慮すべきである。 



しかしながら、この点についても、事案によって具体的な解釈や適用が異なる可能性もあり、鑑定業務を実施する際には十分に裁判所と協議すべきである。






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「公正な価格」と「資産状態その他一切の事情を考慮した」価格とは同一のものか?



「公正な価格」と「資産状態その他一切の事情を考慮した」価格とは同一のものと解釈すべきか否かという議論がある。 
通常の場合は同一と解すべきであろうが、事案によって具体的な解釈や適用が異なる可能性もあり、鑑定業務を実施する際には十分に裁判所と協議すべきである。




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株価鑑定における経過報告の重要性


株価鑑定業務が長期にわたる場合、裁判所に経過報告を行うことは大変有効な手続である。
事案によっては裁判所と協議すべき事項が多数発生する可能性があり、そのなかには鑑定結果に影響を与えるものもあるため、鑑定業務が完了する前に裁判所と協議する機会を設けることは不可欠である。 
大型事案では複数の経過報告の機会を設けることもあり得るし、それ以外の事案でも、直近の作業経過を基に裁判所との間で建設的な協議を行うことができるというメリットがあり、最低でも1回は必ず実施すべきである。 
経過報告では、作業の進捗状況の報告だけでなく、事前の打合せでは認識されていなかったが、作業の進捗につれて新たに生じた問題点の確認も必要である。また、鑑定人から裁判所に対して裁判の進捗経過について質問をして情報を入手することが有用な場合もある。 





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鑑定における主張書面等の分析の重要性


鑑定業務を行う際には、争点及び双方の主張を網羅的に把握しておくことが重要である。大きな事案では、双方が自らの主張及びそのサポート資料として提出する主張書面と書証がかなりな量に及ぶ場合があり、そのような場合、主張書面の提出期間も長期にわたる。
そのため、個々の争点について双方の主張をまとめた比較分析表のようなものを作成して整理しておかなければ、鑑定をまとめる際に、争点や主張の一部について考慮することが漏れてしまう可能性がある。

重要な争点について鑑定に影響があると考えたときには、裁判所と協議する必要があるが、その際には、上述の比較分析表などを基に網羅的に検討する必要がある。 
また、裁判所に提出した鑑定書が両当事者に開示され、追加で主張書面等が当事者から提出されてくることがある。鑑定書提出後についてまで鑑定人が責任を負うことが困難であるため、原則として、これらの追加された主張書面についての対応はするべきではないが、この点についても裁判所と協議する必要がある。





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2012年6月18日月曜日

裁判目的の株価鑑定における裁判所との協議の重要性


公認会計士は法律の専門家ではないものの、鑑定業務を遂行するためには、会社法などに関する一定の知識を持っておく必要がある。
しかしながら、鑑定業務を実施する際には、法的な解釈や見解によって鑑定に大きな影響を与える事項がしばしばあり、また、それらの多くは双方の主張に乖離がある争点となっている。
法律の専門家ではない公認会計士は、こうした事項については見解を述べる立場に ない。そのため、裁判所に対して、解釈や見解の内容によって、鑑定結果にどのような影響があるかを説明し、十分協議する必要がある。
裁判所の見解に応じた鑑定を実施する必要がある場合には、解釈若しくは見解を裁判所に求めることになる。
また、見解の相違によって、鑑定結果がどのように相違するかを明示することを求められることもある。
ただし、見解の相違による影響は、数値化できないものもあるので注意を要する。
鑑定業務の開始から完了までの間にわたり、裁判所との十分な協議が必要である。



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裁判目的の鑑定業務における守秘義務


「公認会計士は、正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た 密を他に漏らし、又は盗用してはならない。
公認会計士でなくなった後であっても同様とする。」という公認会計士法第27条の守秘義務は、鑑定業務を行う場合にも当然に適用される。
それに加えて、鑑定書は、争っている両当事者に開示されることになるため、鑑定書には他者に漏れることによって一方が著しく不利益を被るような情報は記載すべきではない。


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裁判目的の鑑定業務における中立性と利害調整目的

鑑定人は、争っている両当事者と何ら利害関係のない独立性を維持しなければならないだけでなく、中立的な立場を保持している必要がある。
鑑定業務を実施する際に、争っている両当事者の意見を平等に入手し検討する必要があり、一方からの意見のみを入手するような中立性を損なうことは避けるべきである。
また、裁判所は、両当事者の利害調整を行うことが目的であり、鑑定結果も利害調整のための参考とする。
このためにも、鑑定人が中立性を保持していることは重要である。
例えば、今までに公表された裁判例などでは、事業計画等の将来予測数値を利用してフリー・キャッシュ・フロー法により鑑定等が実施されている例は少ないが、前述のとおり、こうした将来予測数値を利用して鑑定等を行うこと自体を裁判実務が否定しているわけではない。
むしろ、「公正な価格」若しくは「資産状態その他一切の事情を考慮した」価格を求めるのであれば、その過程において、事業計画等の将来予測数値を入手し、検討することは不可欠であるし、それらの数値を価格に反映すべき場合もあることに留意する必要がある。
しかし、事業計画等の将来予測数値は、一定の前提に立って作成されるものであり、その前提の合理性を確かめることは困難である。さらに、事業計画等の作成者である発行会社が買受人となるようなケースなどでは、争っている両当事者の一方のみが作 成に関与した将来予測数値を用いることが適切かどうか、慎重に検討し、裁判所と協議する必要がある。
裁判所の利害調整という本来の趣旨を理解し、少数株主の利益保護などを十分に確保できているかどうかを考慮する必要があるためである。


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裁判目的の鑑定業務における独立性


裁判所は、独立した第三者である有識者からの鑑定意見を入手する
ことによって、自らの判断を行う上での参考とする。
このため、鑑定人は、公正不偏な態度を保持するだけでなく、事案に関係するすべての者との間に直接的にも間接的にも利害関係のない独立した立場でなければならない。
実質的に利害関係がないだけでなく、疑いを招くような外観を有することもで きない。
その点は受嘱前に十分に確認する必要があり、何らかの利害関係が存在することを認識した場合には、受嘱することはできないし、業務開始後においても同様である。
ひとたび鑑定人として選任された場合には、自らの都合で業務からおりることはで きないことになっているが、何らかの利害関係が生じた際には、あるいは、そうした関係があると疑義をもたれるような事実が生じた場合などには、速やかに裁判所に報告しなければならない。



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2012年6月17日日曜日

裁判目的の鑑定業務の特殊性

鑑定とは、訴訟などにおいて一定の分野の専門的知見に基づく意見であり、鑑定人は、当該意見を述べる人をいう。
鑑定人は、一定の事実につき自己が過去に得た学識経験等 専門的知見に照らした判断を述べることが要求される。
つまり、鑑定人は、裁判官の心証形成作業を一部補完する役割を担うこととなる。
ただし、裁判官の独立の精神や自由心証主義の帰結により、裁判官は、専門家である鑑定人の判断に必ずしも拘束さ れるものではなく、鑑定人も上記の権利・権限は認められない。
つまり、鑑定人は、裁判所に対し、独立した専門家意見を述べる人ということになる。
また、当事者とは 中立的立場にあり、精神的経済的に独立した人ということになる。


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裁判目的における鑑定業務フロー


鑑定とは、訴訟などにおいて一定の分野の専門的知見に基づく意見であり、鑑定人は、当該意見を述べる人をいう。
鑑定人は、一定の事実につき自己が過去に得た学識経験等 専門的知見に照らした判断を述べることが要求される。
つまり、鑑定人は、裁判官の心証形成作業を一部補完する役割を担うこととなる。
ただし、裁判官の独立の精神や自由心証主義の帰結により、裁判官は、専門家である鑑定人の判断に必ずしも拘束さ れるものではなく、鑑定人も上記の権利・権限は認められない。
つまり、鑑定人は、裁判所に対し、独立した専門家意見を述べる人ということになる。
また、当事者とは 中立的立場にあり、精神的経済的に独立した人ということになる。


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譲渡制限株式の売買価格評価業務フロー

譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該会社に対し、当該他人が当該譲 渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる(136条)。
また、譲渡制限株式の取得者は、会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる(137条1項)。
株主からの承認請求又は株式取得者から会社に承認請求があった場合、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の決議により承認か否かの決定がされる(139条1項)。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
会社は、承認をするか否かを決定したときは、譲渡等承認請求をした者に対し、当該決定の内容を通知しなければならない(139条2項)。
株主又は株式取得者からの請求を承認しない場合、当該譲渡制限株式を買い取らなければならない(140条1項)。
この場合、会社は、株主総会の決議によって対象株式を買い取る旨及び買い取る株式数を定めなければならないが(140条2項)、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって(ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。)、対象株式の全部又は一部を買い取る者 として買取人を指定することもできる(140条4項、5項)。
会社が当該譲渡制限株式を買い取る場合、対象株式の売買価格は、会社と譲渡等承 認請求者との協議によって定める(144条1項)。会社又は譲渡等承認請求者は、会 社からの買取通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立 てをすることができる(144条2項)。
この場合裁判所は、売買価格の決定をするには、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない(144条3項)。
指定買取人が買取る場合も同様である。

以下は、フローの例示である。
株主が、ある者に譲渡制限株式を譲渡したいことから、その旨の譲渡承認請求を会社に行った。
取締役会設置会社であるこの会社では、取締役会でその請求を承認せず、別な者を買取人に指定し、その旨を株主に通知した。
株主と指定買取人の間で売買価格について協議を行った。
株主は、公認会計士甲に売買価格に関する算定を依頼した。
指定買取人も、公認会計士乙に売買価格に関する算定を依頼した。
いずれも入手した算定書の内容を参考に売買価格に関する協議がなされたが調わなかった。
指定買取人は、裁判所に「株式売買価格決定申請書」を提出した。
申請人である指定買取人と被申請人である株主は、売買価格の協議を行い、それぞれが協議の参考にしている算定書も書証として提出した。
申請人は、被申請人が書証として提出した公認会計士甲の算定書について、検討を公認会計士乙に依頼した。
被申請人は、申請人が書証として提出した公認会計士乙の算定書について、検討を公認会計士甲に依頼した。
裁判所でも協議を重ねたが調わず、申請人である指定買取人から、「鑑定申立書」が提出された。
裁判所では公認会計士丙を鑑定人に選任し、鑑定命令を出した。



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株式及び新株予約権の買取価格評価業務フロー


会社法116条1項各号に掲げる場合の反対株主は、会社に対して、自己の有する当該各号に定める株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法116条1項)。
株式の買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と会社との間に協議が調ったとき、会社は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない(117条1項)。株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協 議が調わないときは、株主又は会社は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対して、価格の決定の申立てをすることができる(117条2項)。
会社は、裁判所の決定した価格に対する効力発生日から60日後の年6分の利率により算定した利息を支払わなければならない(117条4項)。
また、118条1項各号に掲げる定款の変更をする場合には、当該各号に定める新株 予約権の新株予約権者は、会社に対して、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる(118条1項)。
この場合、新株予約権の価格の決定について、新株予約権者と会社との間に協議が 調ったときは、株式会社は、定款変更日から60日以内にその支払をしなければならない(119条1項)。新株予約権の価格の決定について、定款変更日から30日以内に協 議が調わないときは、新株予約権者又は会社は、その期間の満了の日後30日以内に、 裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる(119条2項)。この場合も、 会社は、裁判所の決定した価格に対する定款変更日から60日後の年6分の利率により 算定した利息をも支払わなければならない(119条4項)。
会社が組織変更する場合の新株予約権の新株予約権者による公正価格での買取請求権(777条)、吸収合併等をする場合の反対株主による消滅会社等に対する公正価格での買取請求権(785条)、吸収合併等における消滅会社等の新株予約権の新株予約権者による消滅会社等に対する公正価格での買取請求権(787条)、吸収合併等を する場合の反対株主による存続会社等に対する公正価格での買取請求権(797条)、 新設合併等をする場合の反対株主による消滅会社等に対する公正価格での買取請求 権(806条)、新設合併等をする場合の消滅株式会社等の新株予約権の新株予約権者 による消滅株式会社等に対する公正価格での買取請求権(808条)の場合も同様であ る(778条、786条、788条、798条、807条、809条)。


以下は、フローの例示である。

発行する全部の株式の内容について、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定め設ける定款変更に対して、ある株主が反対の意思表示を行った(116条2項)。
その後、その株主は、会社に対して、自分の所有している株式を公正な価格で買い取ることを請求してきた。
会社は、公認会計士甲にこの場合の株価算定を依頼し、受領した算定書を参考にその株主と株式の価格について協議した。
所定期間内に協議は調わず、株主が代理人と通じて裁判所に、「株式買取価格決定申請書」を提出した。
裁判所でも申請人である株主と被申請人である会社が主張書面を提出し、協議を重ねた。
被申請人の会社は、協議の過程で、主張する株価の根拠となる公認会計士甲作成の算定書を書証として裁判所に提出した。
非訟手続における主張を記した書面は口頭弁論の「準備」のための本来の準備書面(民事訴訟法161条)とは異なるが、実質は同じものであることから準備書面と呼ばれることもある。
「書証」は文書を証拠として調べることであり、本来の意味は証拠となる文書そのものを指すわけではないが、慣例上、証拠となる文書も「書証」と呼ぶことが多い(民事訴訟規則139 条はこのような用語法を受け容れているようにも読める。)。
申請人は、書証の算定書の内容について、公認会計士乙に検討を依頼した。
そして、公認会計士乙から提出された検討書を参考に、申請人の主張を取りまとめ、主張書面として提出した。
裁判所での協議も調わなかったため、申請人である株主から裁判所に鑑定を求める証拠申出書が提出された。
裁判所では公認会計士丙を鑑定人に選任し、鑑定命令を出した。







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