できない(非累積型)。
一方で、優先配当後の残余利益からは配当を受領することができる(参加型)。
【前提】
ア.配当について優先性のある株式Aの配当受益権の価値=A
イ.配当について優先性のない株式Bの配当受益権の価値=B
ウ.評価時点の留保利益=RE
エ.今後予想される年平均利益額=P
オ.考慮年数(原則として無限大年(∞)とする。ただし、合理的な予測可能期間とすべきとの考え方もある。)=X
カ.配当可能利益の年平均額(=計算時点の留保利益÷残存考慮年数+今後予想される年平均利益額)=Y
キ.優先配当額単価(固定額と仮定)=Z
ク.予想配当性向=α
ケ.優先株式Aの数=a
コ.優先株式Aの株主が優先配当後の残余利益に参加できる割合=ω
サ.各期におけるPの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がa×Z未満となる確率=μ
シ.各期におけるPの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がa×Z未満となる場合の平均優先配当額=M
ス.Y<a×Zの場合に、Pの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がY未満となる確率=ε
セ.Y<a×Zの場合に、Pの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がY未満となる場合の平均優先配当額=E
【計算】
① Y≧a×Zの場合(判定結果は毎期同じと仮定)
A={a×Z×X+(α×P-a×Z)×ω×X}×(1-μ)
+a×M×X×μ(時間価値は無視)
B=α×P×X-A
=αPX-[{aZX+(αP-aZ)ωX}(1-μ)+a
MXμ]
=αPX-{aZ+(αP-aZ) ω}X(1-μ)-aMXμ
(ただしαP-aZ≧0)
∴A:B=〔{aZX+(αP-aZ)ωX}(1-μ)+aMXμ〕:
〔αPX-{aZ+(αP-aZ) ω}X(1-μ)
-aMXμ〕
=〔{aZ+(αP-aZ)ω}(1-μ)+aMμ〕:
〔αP-{aZ+(αP-aZ) ω}(1-μ)-aM
μ〕
ここで、実際の算定上は、a、Z及びωは固定で所与であり、αは例えば過去の配当利回り実績又は今後の予測値を採用し、Pは会社の利益計画を用いること等が考えられる。ここでさらにμとMの値が明らかになれば、A:Bの比率を導出できることとなると考えられる。
② Y<a×Zの場合
A=Y×X×(1-ε)+a×E×X×ε
B=α×P×X-A
=αPX-YX(1-ε)-aEXε
(ただしαP-aZ≧0)
∴A:B=〔YX(1-ε)+aEXε〕:
〔αPX-YX(1-ε)-aEXε〕
=〔Y(1-ε)+aEε〕:
〔αP-Y(1-ε)-aEε〕
この場合、Y<a×Zであるため優先株式Aの株主は残余利益への参加はできないと考えられる。よって非累積型・非参加型と同様となると考えられる。
ここで、Yのうち計算時点の留保利益は所与であり、計算期間も所与である。会社の利益計画を用いてPを算出することによりεとEが明らかになれば、A:Bの比率を導出できることとなると考えられる。
租税調査会研究資料第1号
「種類株式の時価評価に関する検討」
平成19年10月22日
日本公認会計士協会
「種類株式の時価評価に関する検討」
平成19年10月22日
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