2014年6月3日火曜日

優先配当受益権の評価 非累積型・非参加型

優先株式Aについては、優先的に一定額(Z)の配当を受領できる。しかし、過去に受領できなかった優先配当額がある場合においても、将来においてその額をも追加的に配当を受けることは
できない(非累積型)。また、優先配当後の残余利益からは配当を受領することはできない(非参加型)。


【前提】
ア.配当について優先性のある株式Aの配当受益権の価値=A
イ.配当について優先性のない株式Bの配当受益権の価値=B
ウ.評価時点の留保利益=RE
エ.今後予想される年平均利益額=P
オ.考慮年数(原則として無限大年(∞)とする。ただし、合理的な予測可能期間とすべきとの考え方もある。)=X
カ.配当可能利益の年平均額(=計算時点の留保利益÷残存考慮年数+今後予想される年平均利益額)=Y
キ.優先配当額単価(固定額と仮定)=Z
ク.予想配当性向=α
ケ.優先株式Aの数=a
コ.X年の各期におけるPの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がa×Z未満となる確率=μ
サ.X年の各期におけるPの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がa×Z未満となる場合の平均優先配当額=M
シ.Y<a×Zの場合に、Pの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がY未満となる確率=ε
ス.Y<a×Zの場合に、Pの変動により、当該期の優先株式Aの株主への配当額がY未満となる場合の平均優先配当額=E

【計算】
① Y≧a×Zの場合(判定結果は毎期同じと仮定)
A=a×Z×X×(1-μ)+a×M×X×μ(時間価値は
無視)
B=α×P×X-A
=αPX-{ aZX(1-μ)+aMXμ}
=(αP-aZ)X+aμX(Z-M)
 (ただしαP-aZ≧0)
∴A:B=
〔aZX(1-μ)+aMⅩμ〕:
〔(αP-aZ)X+aμX(Z-M)〕
 =〔aZ(1-μ)+aMμ〕:
 〔(αP-aZ)+aμ(Z-M)〕
ここで、実際の算定上は、a及びZは固定で所与であり、αは例えば過去の配当利回り実績又は今後の予測値を採用し、Pは会社の利益計画を用いること等が考えられる。ここでさらにμとMの値が明らかになれば、A:Bの比率を導出できることとなると考えられる。

② Y<a×Zの場合
A=Y×X×(1-ε)+a×E×X×ε
B=α×P×X-A
=αPX-YX(1-ε)-aEXε


∴A:B=〔YX(1-ε)+aEXε〕:
〔αPX-YX(1-ε)-aEXε〕
 =〔Y(1-ε)+aEε〕:
〔αP-Y(1-ε)-aEε〕
ここで、Yのうち計算時点の留保利益は所与であり、計算期間も所与である。会社の利益計画を用いてPを算出することによりεとEが明らかになれば、A:Bの比率を導出できることとなると考えられる。

租税調査会研究資料第1号
「種類株式の時価評価に関する検討」
平成19年10月22日
日本公認会計士協会


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