2012年2月1日水曜日

遺留分を算定する際の財産の価額

遺留分を算定する際の財産の価額は、生前贈与された財産を含めて、すべて相続開始時を基準として評価され、後継者の貢献により上昇した場合であっても、その貢献は考慮されず、単純に上昇後の価額で計算されてしまう。このため、企業価値を上昇させればさせるほど、非後継者の遺留分の額を増加させることになり、このことが、企業価値を向上させようとする後継者の意欲を阻害するおそれがある。
そこで、経営承継法は、後継者が贈与により取得した自社株式について、「遺留分を算定する際の価額を合意の時における価額に固定する」ことを内容とする合意(以下「固定合意」という。経営承継法第 4 条第 1 項第 2 号)を行うことができ、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可といった諸手続を経ることで当該合意の効果が生じることとした(同法第 7 条から第 9 条。次図参照)。この「固定合意」を活用することで、後継者は、将来の企業価値の上昇に伴う遺留分額の増大を心配することなく経営に専念することが可能となる
なお、先代経営者から推定相続人たる後継者が自社株式の贈与を受ける場合、一旦、贈与税を納付し、相続時に相続税で精算を行う相続時精算課税制度を選択できる。この制度においては、相続税の計算を行うにあたり、贈与財産の課税価格は贈与時の時価とされている。また、平成 21 年度税制改正により創設される「非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度」においては、贈与時には贈与税の納税を猶予し、贈与者の死亡の際に当該贈与税を免除した上で、対象株式を相続により取得したものとみなして相続税の計算を行うが、その際の課税価格は、相続時の時価ではなく、贈与時の時価とされている。
しかし、相続時精算課税制度や贈与税の納税猶予制度は、あくまで相続税の計算上、評価時点を贈与時に固定するものであって、先代経営者の相続人間の権利関係を規律する遺留分制度の特例である固定合意とは、趣旨・目的が異なる制度である。
したがって、生前贈与を受けた株式に係る贈与税の申告時に相続時精算課税制度や贈与税の納税猶予制度の適用を選択したとしても、遺留分の算定に係る当該株式の価額を固定するためには、別途、先代経営者の推定相続人間において、固定合意を行わなければならない。その際、この場合の「価額」は、贈与税の「時価」とは異なるものであることに留意する必要があるが、合理的に算定された「価額」は、「時価」の一つであるとも言える。

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