2012年1月22日日曜日

損害賠償請求事件 大阪地裁平成15年3月5日判決(判時1833号146頁、判タ1152号247頁、金判1172号51頁)

大阪地裁平成15年3月5日判決(判時1833号146頁、判タ1152号247頁、金判1172号51頁)

事案の概要
本件会社は、大正8年に設立された殺虫剤等の製造販売業を営む株式会社であり、資本金は9660万円、発行済株式総数は193万2000株、純資産額は285円である。
本件会社は、5万8000株(約3%)を所有する株主Aから当該株式を代金10億9794万円(1株当たり1万8930円)で自己株式として買い取ったが、本件会社の株主Bは、当該自己株式の取得は違法なものであるから、自己株式の取得により本件会社に生じた損害について、当該自己株式の取得時の取締役を被告として、株主代表訴訟を提起した。
裁判所は、上記自己株式の取得が違法であり、その当時の取締役に損害賠償責任があることを認定したうえで、損害額について、下記のとおり判示した。

裁判所の判断
(ア) 評価方式は、時価純資産方式による評価額2、収益還元方式による評価額1の各割合で加重平均する併用方式を採用する。
本件自己株式の取引当事者であるA及び本件会社は、共に被告ら○○一族が支配権を有する会社であり、本件自己株式の譲渡は、支配株主間における株式移動にほかならないから、本件自己株式の価格は企業支配株式として評価することが相当であり、評価方式としては、時価純資産方式及び収益還元方式の併用方式によるべきである。そして、本件会社が、その総資産のうちに多額の営業に直接関わりのない資産を有しており、かつ、営業用資産とそれ以外の資産とを明確に区分することができないことを勘案すれば、時価純資産方式による評価に重点を置くことが相当であり、時価純資産方式による評価額2に対し、収益還元方式による評価額1の割合で加重平均することが相当である。

(イ) 時価純資産価額方式による評価額は、1株当たり1万8857円である。
(ウ) 収益還元方式による評価額は、1株当たり5494円である。
本件会社では、価格時点当時、投資計画まで含めた利益計画を策定していないため、将来キャッシュフローの予測が極めて困難であることから、ディスカウンテッド・キャッシュフロー法(DCF法)を採用せず、1株当たりの予想税引後利益を資本還元率で除して1株当たりの評価額を算出する収益還元方式を採用する。
まず、1株当たりの予想税引後利益について、価格時点を含む過去5期間の税引前利益から税負担額を控除した額の平均値によって算出すると、375.8円となる。
次に、資本還元率については、長期利子率に危険負担率(リスクプレミアム)を加算する方法を採用する。そして、長期利子率を過去10年間(平成5年から平成14年まで)の長期プライムレートの平均値により2.63%とし、リスクプレミアムを4.21%(将来収益が不確実であるリスク2.63%に市場性を欠くことによるリスク1.58%を加算したもの)とするのが相当であるので、資本還元率は、6.84%となる。

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