2012年1月22日日曜日

譲渡制限株式の売買価格決定申立事件青森地裁昭和62年6月3日決定(判時1272号138頁)

青森地裁昭和62年6月3日決定(判時1272号138頁)

事案の概要
本件会社は、発行済株式総数18万株の株式会社であり、昭和59年6月30日現在の純資産額は8970万6248円である。
Aは、その所有する本件会社の株式約3万株(16%)を譲渡するに際し、昭和59年10月2日及び29日付け書面をもって同会社に承認を求めたが、同会社はこれを承認せず、Bを買取人と指定した。

裁判所の判断
二 そこで、本件株式の売買価格につき検討するに、鑑定人○○○○の鑑定結果によれば、右価格は1株につき金1095 円と認めるのが相当である。右鑑定結果によると、株式の評価方法については、①純資産価額方式、②配当還元方式、③類似会社業種比準価額方式の各方式が考えられるが、本件株式の価格を算定するについては純資産価額方式すなわち一定時点において会社に帰属する一切の財産を時価により評価し、積極財産から消極財産を控除した残額(正味財産)を発行済み株式総数で除した金額をもって評価額とする方法によって評価するのが最良であるとし、その理由とするところは、株式の評価をする場合、株式に包含される権利として利益配当請求権、残余財産分配請求権、議決権などがあるが利益配当請求権は将来の営業利益に左右され、これは又、市況、経営者及び労働者の能力等にかかわるものであって不確定な要素が多く、これをもって株式の評価額を決定することは困難かつ確実性に欠けること、議決権は共益権であり財産的評価に馴染まないことから右権利をもって評価の対象とすることは相当でないこと、残余財産分配請求権については一定時点において会社に帰属する財産(正味財産)の評価であるからその範囲が明確である以上は評価可能であり、その評価は純資産価額方式によって評価するのが最良であるというのであって、右鑑定結果が理由とするところは至当というべきである。加えて、本件記録によれば、本件会社は昭和53年以降株主に配当をしていない無配会社であることが認められ、無配会社については前記配当還元方式による株式の評価は適切でないこと、また、本件会社の特殊性から同種会社を抽出することが容易でなく、前記類似会社業種比準価額方式によることも困難であると思料され、これらの点からも鑑定結果が純資産価額方式を採用したことは相当であると解される。そして、本件記録に現れた資料を総合すると、右鑑定結果において採られた資産評価の方法、演算はいずれも相当であり、その評価額は適正なものと認められる。

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