2012年1月22日日曜日

譲渡制限株式の売買価格決定申立事件  東京高裁平成20年4月4日決定(金判1295号49頁)

東京高裁平成20年4月4日決定(金判1295号49頁)

事案の概要
本件会社は、平成12年2月8日に設立された株式会社で、デジタルコンテンツ配信事業を営んでいる。
本件会社の発行済株式総数は、6000株であり、その株主構成は、X社が2400株、Y社が3600株で、本件会社はY社の連結子会社である。
本件会社は、設立後さほど年数を経過しておらず、不動産等の含み益のある資産を所有しておらず、これまで配当を実施したこともなく、将来配当を実施する予定もない。
X社は、その所有する本件会社の株式2400株を譲渡するに際し、平成19年3月22日付け書面をもって同会社に承認を求めたが、同会社はこれを承認せず、Y社を買取人と指定した(これによりY社は、発行済株式6000株のすべてを所有することになる。)。

裁判所の判断
(1) 本件会社においては、Y社が過半数の3600株の株式を有し、経営権を有している。他方、本件株式は2400株で発行済株式総数の40%に当たり、その株主は株主総会の特別決議を拒否できるから、本件会社の経営に一定程度の影響を及ぼすことができ、しかも、X社からY社に本件株式が移動することによって、Y社は本件会社を完全に支配することができることになる。したがって、本件株式については、経営権の移動に準じて取り扱い、この場合に用いられる評価方式である純資産方式、収益還元方式を検討すべきである。また、本件会社では、配当を実施したことがなく、将来配当を行う予定はないのであるから、配当還元方式を採用する基礎に欠けていることが明らかである。

(2)


(3) 以上のとおり、本件会社は、創業してさほど年月が経過しておらず、資産に含み益がある不動産等は存在しないこと、ベンチャー企業として成長力が大きく、売上は順調に推移しており、その事業の進展の経緯からすれば、平成18年3月期、平成19年3月期と同様に、その後も同程度の利益が確実に見込まれるものである。以上を考慮すると、純資産方式を採用すると株式価値を過小に評価するおそれがあり、純資産方式は併用することを含め採用するのは相当ではなく、収益還元方式によって評価するのが相当である。


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